カクテル「サイドカー」、思い出話に付き合ってよ Vol.3

ボクのバーテンダー下積み時代のお話。

お店や師匠によっても事情が違うからね。これはボクが駆け出しだった頃の経験談です。

はじめてバーで働き出したのが、??歳。えーっと、察してください。笑

……

ボクはいま30代だけど、当時はまだ洋酒が憧れだった時代でした。
ボンベイ・サファイアが好きだったんだ。今でもね。

初めてバーに入った時は、やっぱり緊張しました。勇気を出して初めてバーで飲んだお酒がボンベイ・サファイアのオンザロック。そこは扉一枚隔てただけで、初めて体験した非日常の世界でした。

バーで働きたいと思って、この仕事がしたいと思って、いろいろあって、お世話になって。

バーで働き始めても、お酒に触らせてもらえません。営業時間は、何にもさせてもらえません。最初はね。

次に任されるようになったのは、奥で洗い物。グラスやお皿をゴシゴシと。

ようやく営業時間にカウンターに立って、お酒を注がせてもらえるようになりました。カクテルは作らせてもらえません。

難易度の低いものから少しずつ。師匠を納得させられる一杯を、いつでも完璧に作ることができるようになってから。

営業時間が終わって、掃除や洗い物、後片付けが済んで、時刻は真夜中というか明け方。まだ一日は終わりません。ここからカクテルの練習を始めます。始発が出るまで延々と。

サイドカーはね、氷が入った金属のシェーカーを振るんだから、そりゃ手が凍るほど冷たいよ。営業終わりで、足も腰も。眠い。疲れた。強い気持ちがなければ、やっていられません。

でも、あの頃を思い返すと、充実してたなあって思います。憧れだったカウンターの中で過ごす、自分一人だけの時間。お客さまはいないけれど。

早く練習したい。早く上手くなりたい。早く自分の手で作ったお酒で、お客さまを喜ばせたいと思って。「サイドカー」ばかりがカクテルじゃないんだけど、特にたくさん練習してました。

ボクが作った一杯を、早くあの人に飲んでもらいたい。美味しいと言って喜んでくれる、あの人の顔を頭に浮かべて。。。

~第4回に続く~

次でおしまいです。ユタカ、初恋の巻。前にも一度書いた事があるんだけどね。せっかちな方は探してみてください。