カクテル「サイドカー」、思い出話に付き合ってよ 最終回

カクテル「サイドカー」の話。
最終回です。

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恋心で仕事を頑張れる、素敵な事じゃないの。

ボクの場合は、初恋というよりも、手の届かない憧れの女性でした。

当時は、中野のとあるバーでマネージャーとして、未熟ながら一人でお店を任されるようになっていました。

お店を回すというのは、お店の空気、空間を作ることと同じです。バーカウンターは舞台。バーテンダーは役者。お客さまは観客。バーは劇場みたいなものです。

ボクが憧れた、ある年上の女性。

それは綺麗な人でした。素敵な着物姿で、教養があって、誇り高く凛とした雰囲気を備えた、ボクが初めて出会ったタイプの女性。

ボクが毎晩練習を重ねた「サイドカー」、初めてお客さまにお作りした、(シェーカーを使う)振り物のカクテルを飲んでくれたのが、彼女でした。美味しいと言ってくれてね。その夜は、もう飛び上がるほど嬉しかったよ。

……

バーは非日常の空間です。映画みたいに素敵な出来事ばかりじゃないけれど、バーを通して、お酒を通して、日常では巡り合えない沢山のきっかけに満ちています。

皆さんも、いつか忘れられない思い出の詰まったお酒に出会えるよ。
ボクが大好きな「サイドカー」、飲みにおいで。

~終わり~