#1 ボクの原点は、東京中野「フランクストン」

Bar NASHのオープンまで、あと一ヶ月を切りました。

堀川豊のバーテンダーとしてのキャリアの紹介を兼ねて、Bar NASHとして独立するに至った経緯を、数回に分けてお話したいと思います。

バーテンダーという職業は、皆さんにとってあまり馴染みの深いものではないかも知れません。ボクは、ふとした事がきっかけでこの世界に足を踏み入れ、以後お酒の魅力、お客様を含めバーに関わる人たちとの繋がりに魅せられて、いつしか自分のお店を構えるのが一つの目標になっていました。

特に、若い子達に読んで欲しい。もっとお酒の素晴らしさ、バーの素晴らしさに気付いてもらえればという気持ちでいます。ボクの体験をお話しすることで、皆さんが少しでもバーとお酒に興味を持って、バーの扉を開けてみるきっかけになってもらえれば、とても嬉しいです。

中野「Cafe & Bar フランクストン」で、お酒の美しさに魅了された

ボクは2010年現在で34歳になります。中野で育ち、今も中野で暮らしています。特に北口は勝手知ったる地元。若い頃はバイトをして、お金もなく日がな中野の街をぶらついていました。

当時はまっていた事と言えば、洋酒が好きだったこと。地元の友達から、洋酒が好きなら、それらしいバーが近くにあると教えてもらい、初めて扉を開けたバーが「Cafe & Bar フランクストン」でした。

非現実的な空間で、美しく姿を変えた「ボンベイ・サファイア」

フランクストンで初めて飲んだお酒のことは、今でも鮮明に覚えています。ジン「ボンベイ・サファイア」のロック。大胆なカットの装飾が施されたバカラの重厚なグラスに、丁寧に削られた丸氷。たったワンショット、30ccのジン、ボンベイ・サファイアが、バーという非現実な空間で美しく輝く様は、今まで触れたことのなかった、全く新しい体験でした。

ボンベイサファイア

すっかりバーの魅力に取りつかれ、バイトで稼いでは、美しいお酒、おいしいお酒を求めて、たった一杯分のお金を握りしめて「フランクストン」に通い詰めました。そこでオーナーの橋本氏から、シングルモルト、ホワイトスピリッツ、カクテルと、様々なお酒を教わることになります。

この頃、フランクストンで飲んだお酒で特に印象に残っているのは、初めてストレートで飲んだシングルモルト「ラフロイグ10年」でした。ウイスキーといえばバーボン一辺倒だったのが、「ラフロイグ」の煙っぽい、消毒液くさい、享楽的な味わいの虜になったことを覚えています。

バーテンダーとしてのキャリアはここから

ある日、フランクストンの橋本氏から「おまえはそんなに酒が好きか、だったらうちで働いたらどうだ?」と声をかけていただきました。この時の正直な気持ちは「お金が無くてもバーで働けば店の酒をタダで飲める、もっとうまい酒が飲みたい!」、それほどのものでしたが、当時のボクにとっては十分すぎる動機でした。

こうしてボクは、バーテンダーとして下積みの経験をしていくことになります。

ボクがバーのオーナーになるまで、目次

#1 ボクの原点は東京中野「フランクストン」
#2 中野フランクストンでの下積み時代
#3 調理修行、軍鶏料理「竹やぶ」