バーテンダーの所作の話

トム・クルーズ主演の映画「カクテル」、もう20年以上前の映画かなあ。

ボトルを投げたり回したり、曲芸みたいな動作でカクテルを作ることを、フレア、フレア・バーテンディングと言います。英語では”Flair bartending”。

見た目がわかりやすくて華があるから、テレビでバーやカクテルを紹介する時、フレア・バーテンダーが登場する事がよくあるんじゃないかな。

それで、普段バーで飲まない方がショットバーに来られて、
バーって、思ってたより地味なんですね?
とか、
テレビで見たのと違う!
とか、たまにそんなことがあります。

フレアは競技やパフォーマンスというか、ちょっと特殊な世界です。もちろん、フレアも、通常のレシピも、両方出来るバーテンダーもいます。どっちが正統派とか、優れているとか、そういう事は言いっこなし。

そもそも、バーのカウンターに入ってお酒を注げば、みんなバーテンダー。名乗るのに資格は要りません。カクテルが作れるとか、お酒に詳しいとか、関係ありません。ジャグリングはやらないしできないよ。一度は練習してみようかって気になるもんだけど。笑

フレアでもそうじゃなくても、結果出来上がるのはカクテルなわけですが、目指すところがちょっと違います。動作じゃなくてお酒の味で魅せる一般的なバーテンダーが、それじゃ作る過程はどうでもいいのかというと、そんな事はありません。

テレビで紹介するには、どうしても画が地味で、ひと目じゃ伝わりにくいと思うけど、ボトルを開ける、閉める、お酒を注ぐ、振る、混ぜる、グラスを持つ、差し出す、細かい動作の一つ一つに様式美があります。茶道とまでは言いませんが、基本や決まりごとが沢山あります。一朝一夕ではとても身に付けられません。

個性も現れます。それこそ、人それぞれ歩き方ひとつも違うように。お店が目指すスタイルにもよってね。真っ白なバーコートを身にまとってビシっとしているお店もあれば、そうでないお店も。

今度バーにいったら、バーテンダーの所作に注目してみるのも楽しいかもね。勘のいい方は、新しい発見も多いと思います。会話のきっかけになるかもしれないよ。何気ないところに気づいてもらえると、ボクらも内心嬉しいものです。