アードベッグ蒸溜所、波乱万丈の歴史とルイ・ヴィトン

アードベッグ蒸溜所のスタンダードボトル、10年モノの「Ardbeg TEN」。
ほんの2~30年前は潰れかけてた蒸溜所だって、信じられないでしょ。

ラフロイグで有名なスコットランドのアイラ島に蒸溜所を構えています。ラフロイグとはまた違った個性で、ウイスキー飲みの間でも人気シングルモルト。アイラらしくピートが効いていて、よく煙の香りがすると表現されます。

ラフロイグ関連のブログは、前にこんなの書きました。
» ラフロイグ18年、美味しいに決まってるじゃないの
» ラスティ・ネイル、ラフロイグを使ってみませんか
» ラフロイグ、トニック・ウォーター割り

スコッチの雄、ブレンデッド・ウイスキー「バランタイン」の味を作るモルト原酒「魔法の7柱」の一つとしても有名だね。ちなみにあと6つは、スキャパ、プルトニー、バルブレア、グレンカダム、グレンバーギ、ミルトンダフ。

今のアードベッグは広告もボトルのデザインも、とにかくスタイリッシュ。それと忘れちゃいけないのが、シリーズの多さです。本当に色んなボトルを出してます。覚えてる限り挙げてくと…

  • Very Young ベリーヤング
  • Still Young スティルヤング
  • Almost There オールモストゼア
  • Uigeadail ウーガダール
  • Supernova スーパーノヴァ
  • Renaissance ルネッサンス
  • Airigh Nam Beist アリーナムビースト
  • Serendipity セレンディピティ
  • Alligator アリゲーター
  • Corryvreckan コリーヴレッカン
  • Blasda ブラスダ

他にも色々あったはず。もう入手困難なのも多いです。(NASHには今のところ10年しか置いてません。品揃えじゃなくてチョイスで勝負なので!チョイスで勝負なので!)。これからも新しいシリーズが発売されていくと思います。ボトラーズじゃなく、オフィシャルの蒸溜所でこんなにバリエーションが豊富なところは珍しいんです。ボトラーズについては、また機会を見て書きます。

どうしてアードベッグがこんな宣伝・販売戦略を拡大して、人気を勝ち得たか。その背景には、歴史的な理由があります。

蒸溜所経営なんてのは、今も昔も相当賢くやらないと、あんまり儲かりません。多くの蒸溜所は創始者一族が細々と続けてきたようなスタイルでした。オラが村の造り酒屋みたいな風情です。

アードベッグの歴史を簡単に見ていくと、オーナー企業はころころ変わってるし、2度も操業が止まってます。ちょっと前まで、いつ潰れてもおかしくない蒸溜所でした。

  • 1794年、前身となる蒸溜所が設立。といっても密造酒だったそうで、お上にバレて施設もろともお釈迦に。
  • 1815年はアードベッグ蒸溜所の公式設立年。以降、百数十年は同族経営が続きます。
  • 1970年代、カナディアン・クラブで有名なカナダのウイスキー会社が買収。
  • 1981年、操業停止。
  • 1989年、操業再開。ワインや酒を広く扱うイギリスの企業が買収。
  • 1996年、ちょっと操業休止。
  • 1997年、操業再開。同じくスコットランドのシングルモルトウィスキーで有名なグレンモーレンジが買収。
  • 2000年代、すったもんだの末にLVMHが買収。

LVMH、みんな知ってる企業です。モエヘネシー・ルイヴィトン。ファッション・ブランドで有名ですが、お酒の分野も手広く進出してます。ドンペリ、モエシャン、ヴーヴ・クリコ、ヘネシー、結局グレンモーレンジも、みんな傘下。

ここ数年のアードベッグの攻勢は、結局LVMHの経営手腕によるところが大きいって訳です。

アードベッグの経営形態は極端に大きいけれど、この手の話は別に珍しいものじゃないです。ウイスキー蒸溜所は、どっかしら資本が入ってることが多いですね。逆に独立系で有名なのは、グレンファークラス、アラン、ベンリアック、グレンドロナック、キルホーマン、スプリングバンク。

飲み手としては、知ってても知らなくても、どっちでもいいと思います。もしも、独立系だから偉い、どっかの傘下だからダメ…なんて考え方をする方がいたら、それはちょっと残念。ウイスキーに限ったことじゃないけれど、お気に入りの酒があるのなら、飲んで応援するのが酒好きの鑑、粋な飲み手の姿勢ってもんです。