松田優作とバーボン「リップ・ヴァン・ウィンクル」

寝る前に、お話ひとつしてあげますよ。
リップ・ヴァン・ウィンクルの話って知ってます?

映画「野獣死すべし」より

……

バーテンダーに聞けば、バーボン、
アメリカ出身の方なら、浦島太郎みたいな昔話、
松田優作が好きな方なら映画「野獣死すべし」のワンシーン、
と答えます。

今日のお酒はバーボン。
リップ・ヴァン・ウィンクル。
美味いよ。名品です。

数少ない独立系の蒸留家、由緒正しきヴァン・ウィンクル家伝統のバーボン。もちろんバーボンだから、主原料はトウモロコシですが、他に小麦を使い、ライ麦を使わないのがココの特徴。バッファロートレース蒸留所で造られています。

ヴァン・ウィンクル 12年
Van Winkle Special Reserve 12Years

スコッチ・ウイスキーとバーボンの、ちょっと事情が違うところ。

スコッチ、特にシングルモルトの世界では、銘柄と蒸留所の名前は一緒のことが多いです。マッカランなら、マッカラン蒸留所。ラフロイグならラフロイグ蒸留所。閉鎖してしまった蒸留所は、売り切ったらもうおしまい。

バーボンの蒸留所、いくつあると思う?
たったの10ちょっと。昔はたくさんありました。

世に出回っているバーボンの銘柄の数と比べて、少なすぎると思うでしょ。閉鎖した蒸留所の銘柄を譲渡したり、買収したり、資本関係が変わったり、色々あってね。批判も多いところです。お陰で小さなメーカーやブランドが生き残っていけている面もあります。このあたりは造り手の心意気次第です。

……

「リップ・ヴァン・ウィンクル」はアメリカに伝わる昔話。小人に誘われて、酒を振る舞ってもらって、気持ちよく眠って起きたら数十年の時が経っていたという、浦島太郎みたいな話。

映画「野獣死すべし」の中で、松田優作がこの話をするシーンがあります。

松田優作の役は殺人犯。ドラマ「探偵物語」のイメージとは全然違う、狂気じみたXXXXの役柄。

やっと追い詰めたと思った刑事・室田日出男を手篭めにとって、銃を突きつけて、唐突に「リップ・ヴァン・ウィンクル」の話を始める。

……

松田優作
「ウィンクルが一眠りしてる間に、
 何十年もの歳月がたっていたんです…
 おもしろいでしょう?」

室田日出男
「リップ・ヴァン・ウィンクル…
 小人に、なんていう名前の酒を貰ったんだ…
 できれば、俺も飲んでみたいなァ…。」

松田優作
「覚えてます…
 ラム、コアントロ、それにレモンジュースを少々…
 シェークするんです…
 わかりますか…?」

室田日出男
「X…Y…Z…」

松田優作
「そう…
 これで終わりって酒だ…!」

……

ものすごい緊張感。芝居が狂気じみてます。一度もまばたきしないんだよ。

動画のリンク載せておくけど、怖いから気をつけて見てね。

松田優作の映画、好きなんだけど、なかなか観たいなって気分になりません。重くて苦しいんだもの。

近々、カクテル「XYZ」の話をしようか。
サイドカー」の話が終わったら。