ボトラーズ、ウイスキーのちょっと込み入ったハナシ

都内でちょっと珍しい、上等なシングルモルト・ウイスキーを買い求めたいなって言うなら、とっておきのお店が2つあります。

目白 田中屋」さん
八重洲 リカーズハセガワ」さん

ちょっとした贈り物にシングルモルトを選んだり、ウイスキーに興味持ちだして、街の酒屋の品揃えじゃ物足りなくなってきて、とかね。

この2店、モルト好きにとっては聖地みたいな存在です。もちろん誰でも買い物できるし、バーやってる人間も仕入れに出向いたりします。

それじゃあって行ってみて、クラクラめまいを起こすんだよ。見たことも聞いたこともないボトルばっかりでね。

ウイスキーの販売元には、2つのパターンがあります。

  • オフィシャル:
    蒸留所が販売まで手がけるパターン。メジャーな蒸留所のものは、街の酒屋さんでも手に入ります。
  • ボトラーズ:
    自前で蒸留所は持っていないから、ウイスキー原酒をヨソから買ってきて、ゴニョゴニョしてから再販するパターン。瓶詰め業者とも言います。

ウイスキー専門店に並ぶボトルは、大半がボトラーズのもの。オフィシャルよりボトラーズが秀でているから…という考え方は間違いです。単純に、ボトラーズ物のほうが圧倒的に商品数が多いんだ。反面、流通量は少ないです。

ちょっと前に紹介した「マクファイルズ・コレクション」も、ゴードン&マクファイルというボトラーズによるシングルモルトです。

どうしてボトラーズという商売が成り立つのかというと、一般的なオフィシャル物のシングルモルトは、

  • 複数の樽をブレンドする(味や色、香りを揃える)
  • 加水する(アルコール度数を40~43度あたりに揃える)

ということを行います。品質を均等に保つ目的で。

一方のボトラーズは、ある意味何やったってOK。

  • 熟成期間を好きに決められる
  • 一つの樽から取り出して、瓶詰めしたっていい(シングルカスク)
  • 加水しなくてもいい(カスクストレングス、だいたい60度後半)
  • 好きな樽に移して熟成させてもいい(○○ウッドフィニッシュって説明が大概付きます)

ウイスキーに樽熟成は付き物ですが、

  • どんな樽を使うか(サイズ、年代、前にどんなお酒が入っていたか)
  • 保存場所は(同じ倉庫でも、場所場所で通気や温度、湿度の条件が変わる)
  • 熟成期間は

全然味が変わってくるんです。

シングルモルトにもいろいろとあって、穏やかなもの、香り高いもの、塩っぽいもの、消毒液みたいなもの、オフィシャルでも十分に個性を楽しめます。でも、ボトラーズはもっと極端に仕上げたり、オフィシャルでは手が回らない遊び要素を加えてみたり、新たな魅力を付け加えます。

言ってみれば、蒸留して樽詰したばかりのモルト原酒は赤ん坊、オフィシャルとボトラーズでは育て方が違うって思ってもらえばOKです。

ボトラーズの世界も、老舗に新進気鋭、規模はいろいろ。どれだけ飲んでも飽き足りないね。こうやってウイスキーの深い森にはまっていくんだよ。笑

……

そうだ、ハセガワさんはね、ほぼほぼ原価で有料試飲をさせてくれます。モルト好きやバーテンダーが、ミネラルウォーター片手に試飲してます。気軽に寄ってみるといいよ。くれぐれも、マナーは守ってね。

……

もうひとつ。当店はモルトバーでもないので、シングルモルトの品揃えには力を入れていません。ボクが気に入っているものを取っ替え引っ替え置いています。あしからず!